アメリカ出版研究会(2007/06/23)

メインスピーカー・市橋栄一氏(紀伊國屋書店 店売総本部 イベントプロモーション担当 理事)
http://www.kinokuniya.co.jp/

延べ20年以上の長きにわたり、ニューヨーク店の運営に携われたその足跡を聞く。1981年のオープンから5年半、また1989年から約16年にわたり、『日本文化のライブ・ハウス』に進化させるため、話しぶりは穏やかなるものの、相当な壁やギャップにもご苦労されたことかと。2002/2003に訪れたとき、クリスマスもあり、本当にたくさんのお客さんでごった返していて、活気がみなぎっていた。絶対また行く。以下、メモ。

■文化・慣習・法律の違い
■さすが契約/訴訟社会で、弁護士・会計士・保険エージェントとしょっちゅう相談
■税のしくみが全く違い、数年で税率が変わることもしばしば
「Metropolitan Commuter Transportation District tax」(通勤者の交通機関地方税?)なんてのもあるそうな
911以前/以後の風景の違いは、一言で表現できないが、現実として中小書店が地価の高騰で廃業を余儀なくされた
■プロモーションに力をいれ、フリーペーパーや朗読会・ライブ・学び講座などさまざまな仕掛けを実施
■『ダ・ヴィンチ・コード』(邦訳版)を一ヶ月前に先行販売!150セットが10日で完売。その後も仕掛けようとするも、なかなか苦戦
■USでは、著者との契約に「Book tour」が盛り込まれているため、実施は当たり前。日本はそういったケースがなかなかないと思うので、今後はそういった活動に注力していきたい。すでに、サザンシアターをつかったイベントは実施されていて、「ホール」なので敷居の高いイメージがあったが、やりかた次第でリーズナブルにできるとのこと。音響が断然いいとのことで要検討。
■こちらの本を「Barnes&Noble」の風景がよく描かれているということで引用されてました。読んだら行くしかなくなるんだろうなぁ。

ニューヨークのとけない魔法 (文春文庫)

ニューヨークのとけない魔法 (文春文庫)

ゲストスピーカー・三島邦弘氏(ミシマ社代表取締役
http://www.mishimasha.com/
2006年10月に設立され、いよいよ今月に直販で二冊を刊行した新しい出版社の代表のこれまでと今とこれからのお話。

<方針>
・楽しむ!
・野性の感覚で勝負しつづける!
・「唯一の本」をつくる!
・一冊の力を信じる!
・「超攻撃的」出版社!
・あのシリウスを見よ!

京都出身のかたでトーンは、やわらか。でも、熱くて、芯がしっかりしていて、他2名のスタッフは、元トーハン・元紀伊國屋書店と強力な布陣。今はまだ310書店とのことだが、契約書店ではいずれも非常に目立つ展開をされていて要注目。本当に本当に大変だと思うけど、がんばってほしい。早速重版はこちら。

街場の中国論

街場の中国論