人は仕事で磨かれる(2007/4/17)

慶應丸の内シティキャンパスの定例講演会『夕学五十講』を聴講する。講師は、丹羽宇一郎氏(伊藤忠商事株式会社 取締役会長、経済財政諮問会議 民間議員)。なかなかお目にかかることのできない方なので、会場300人はもちろん満員。サテライトで、日本各地に配信もしているのだが、質疑応答時に全国各地から多数の質問があったことでもその人気がうかがえた。
ご本人の姿は自分で言っているように「小父さん」ではあるが、2時間いっさい水を口にすることなく、立ちっぱなしで、時には非常に熱くなったり、嘆かれたり、「信念」の塊のような人間力のあるかただった。また折にふれ、アリストテレスモンテスキュー孔子マルクスといった古典をひき、非常に教養のあるかたでもあった。古典はいまからでも読めるので、1日30分読書の励行のとっかかりにしていこう。以下メモ。

1.終わらない会社の不祥事について
■すべて行き着くところは、自己愛・自己保身
■「苦労」にウソ・粉飾が入り込みやすい
■等身大のままを見せる
■心の化粧が厚い人間が増えた
■人間としての教育が必要
■賢者と愚者があり、みなが自分をコントロールできる賢者に
■愚者(たわけもの)は、動物たちと変わらない
■日常の行動、生活態度という「背中」を見せて行動せよ
■ビジネスとは、最終的に「全人格とのたたかい」である

2.グローバリゼーションの光と影
■1989 ベルリンの壁崩壊に端を発する社会主義の崩壊が資本主義傾倒へのはじまり
■影とは、すなわち格差 rich & others
■光(経済成長)が続けば、影も続く
■就業人口6,600万人が、今後毎年0.05%づつ減っていく
■天然資源に恵まれず、設備投資と輸出で支えられている日本が、持続的な経済成長を続けるためには?
■人と技術、日本にはこれしかない
■成長する確信をもち、国際競争力をつける。高等教育が重要
■小中学生は、親の背中をみて育つ
労働生産性を高めなくてはならない分野
GDPのうち第三次産業が70%で、その44%がサービス業。そのサービス業の生産性がアメリカ比で40〜60%。IT・製造・金融はほぼアメリカと同レベル。その中でも、物流・小売・卸・医療が喫緊の課題ではないかと。
■生産性をあげるためのITの活用は重要、リテラシーの向上も平行して行う
イノベーションは、技術だけでは起きない。テクノロジーファイナンスマーケティング・仕組み化があって産まれるもの
■Languageは、非常に非常に重要
■中国・インドに追い抜かれるかもしれない
■羽田や港の24h稼動・国際化が進まなければ、日本はLocalな国になってしまう

3.人間の成長のために
■はたらくとは、1.生きるため 2.稼ぐため 3.自己充実のため
■日本は、いま、2.フェーズから3.フェーズに移りつつある
■人生は課題をもたないと生きていけない
■とにかく一生懸命にはたらく。仕事をすることが財産
■人間として立派になることを望む
■恵まれた環境では、馴らされ、傲慢になってしまう
■徹底的な練習をすれば、どんな局面においても、平常心でいられる
■やれるだけやっているか?
■毎日30分読書の励行(ハードカバーの社会学や経済学などの本を読めば自然に読みたくなる本がひろがってゆく)

人は仕事で磨かれる

人は仕事で磨かれる