アメリカ出版研究会(2007/02/24)

メインスピーカー・原田英治氏(英治出版株式会社 代表取締役
http://www.eijipress.co.jp/

日販時代に何度かお見かけしたことがあり、知り合いがいたりするが、実際にお話を伺うのは初めて。アンダーセン出身なので、勝手に「論理」の人というイメージがあったのだが、話の中で、共感・想像力・粘り強さといった「情緒」的な言葉を使われていたのが、印象的。ビジネスの話も、非常にシンプルでわかりやすかった。以下、メモ。
ブックファンドについて
金融商品ではなく、出資者がプロジェクトメンバーとなり、“publish”というプロジェクトを遂行するためのプラットフォーム提供である。「出版」というと、版を出すと言う字面から、紙にのせたプロダクトというイメージにとらわれてしまうので、意識的に“publisher”という表現を使われている。たしかに。
 http://home.alc.co.jp/db/owa/etm_sch?unum=6215&rnum=421&stg=2
・著者(=出資者*1者の場合)とは、出版契約と商法の匿名組合契約、2つの契約を結ぶ。所謂「自費出版」と呼ばれる出版社の契約は、そもそも本質の違う契約が1つになっているため、トラブルが発生する原因にもなっている。
・いままで46タイトルで打率は5割
・一者一口によるタイトルが多い(公募は稀で、現在は受けつけていない)
・社会的価値につながる“publish”も
 留学生文学賞
 http://www.ryu-bun.org/
 スリランカ孤児院建設プロジェクト
 http://www.eijipress.co.jp/puluwan/index.html
・そういえば、レゾナンスも創業当初はブックファンドをアピールしてましたね
 http://www.resonance.co.jp/
■再販がなくなった場合の具体的な経済効果は? 
 システム開発・負荷は、講談社トーハン紀伊国屋書店のどこが一番高いのか??
英語圏進出へ向けて


ゲストスピーカー・別府章子氏(偕成社 編集部)
http://www.kaiseisha.co.jp/

普段、あまり接することのない児童書編集のかた。非常にエネルギッシュな語り口で、そのお話に引きこまれました。4月から、放映されるアニメ『精霊の守り人』の話を中心に。以下、メモ。
http://www.moribito.com/

■全10巻が完結。新刊発売時に既刊が動く、という巻数物のオーソドックスなサイクルで売れ続け、1巻は10万部超
■自社の特別サイト、代表的なファンサイト、mixiコミュ、などインターネット上でも非常に活発
■ロングセラー・ベストセラーの編集者は、さまざまな編集「以外」の業務もこなしている。属人的になってしまいがちなそのノウハウを、いかに共有もしくはアウトソースするか
■制作委員会は、電通三菱商事の事業提携第一弾。偕成社は、参画せず。以下、リリースPDF
 http://www.dentsu.co.jp/news/release/2006/pdf/2006041-0606.pdf
 『精霊の守り人』の半年後にでた、いま、話題の『バッテリー』もこれがスタート。

バッテリー (教育画劇の創作文学)

 映画のクレジットをみると、出版社の教育画劇も制作委員会には入っていないようだ。