「ウェブ時代をゆく」

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

梅田氏の文体は、じんわり熱い。まるで低温火傷になったよう。
何箇所かマーカーをひっぱったので、いくつかを引用させていただきつつ。

172-173p
英語圏ネット空間の知は、「次の十年」で圧倒的に充実していくだろう。このまま十年が経過すると、英語圏の「学習の高速道路」が著しく充実し、英語圏に生まれ育つことの優位性がこれまで以上に増幅されてしまうのではないかという危惧すら抱く。ひとりの個人として、「英語圏ネット空間の知的充実」という現象を眺めれば、「英語力を徹底的に磨くことこそがこれからの知的生活の充実に必要不可欠だ」という結論にたどり着く。
しかし「学習の高速道路」を構築するための道具立てはもうすべて用意されているのだ。日本語権のネット空間を知的に豊穣なものにしていけるかどうかは、日本語圏に生きる私たち一人ひとりの意志にかかっている。ネット上の知の可能性を過小評価して何もしなければ、十年後の英語圏ネット空間と日本語権ネット空間の間には、取り返しがつかないほどの格差が広がっていることだろう。そのことについて、ここで警鐘を鳴らしておきたいと思う。

同じようなことを丹羽宇一郎氏も言ってて、これは自分でやるしかどうにもならない。ロールモデル思考法を細切れで取り入れ、「見晴らしのいい場所」に行けるようにしなくては。あと一年で。そしたらそれから考えよう。

26p
なるべく早い時期に「好き」の核さえしっかりと認識できれば「自分に合った高速道路」を選択でき、大渋滞の程度がひどくない高速道路を選べるかもしれない。「好き」の強度が強く才能に自信がもてれば「高く険しい道」を極めていけばいい。大渋滞に差し掛かったところで高速道路を降り、自らの複数の志向性を意識的に発見しながら「好き」の複合技で「けものみち」を歩んでいくのもいい。

「好き」のたしかさを認識していることはあるので、「自分に合った高速道路」をどんな要素で設定・選択をして、「険しい道」か「けものみち」を選ぶのか、立ち止まって考えよう。

103p
自分の価値を理解して対価を支払ってくれる人が存在する状態を維持しようと心掛けること。コモディティ化だけは絶対にしないと決心すること。自らのコモディティ化に対してだけは「paranoid」(病的なまでの心配性)であるべきで、その予感があったら必ず新しい要素を自分の専門性やスキルに加えていくこと(そのときも高速道路を大いに理容しよう)。

心掛けはしているつもりだが、コモディティ化には自信がない。。業務で課題を与えられ、専門性とスキルで解決することは「コモディティ化」なのかどうか。あくまで業務なので、「コモディティ化」とは思わないが、その際に「個を輝かせる」・プロモーションをするにはどんな方法があるのだろう。来週講演会に参加するので、質疑応答の時間があれば聞いてみよう。

114p
進取の気性に富む、
積極性、
自己表現欲求、
広い問題意識、
高速道路の外の世界への関心、
情報収集力、
行動力、
積極性、
勇気、
スピード感、
常識、
明るさ、
素直さ、
人に好かれる性格、
コミュニティ・リーダーシップ、
段取り力、
コミュニケーション能力、
気遣い、
やさしさ、
柔軟性、
反射神経的に判断して物事を決める力、

以上、「けものみち力」の要素。こういう要素の中に、「明るさ」「素直さ」「やさしさ」がはいる wording のセンスがなんかいい。

125p
常にロールモデルの仕込みを丁寧にやり続け、転機になるとその引き出しをあけてロールモデル思考によって大きな判断をし、それでしばらくはその執行に没頭し、また転機がきたらロールモデルの引き出しをあけて……という繰り返しだった。

会社、事業、人など、いずれも「いいな、参考にしよう」と思ったことはあるが、梅田氏のような「自分に何が不足しているのかを徹底的に研究」はまったく……。しなくては。

208-209p
ウェブ・リテラシーとは、たとえばこんなことである。
(1)ネットの世界がどういう仕組みで動いているかの原理は相当詳しく徹底的に理解している。
(2)ウェブで何かを表現したいと思ったらすぐにそれができるくらいまでのサイト構築能力を身につけている(ブログ・サービスを使って文を書くとかそういうことではなくて)。
(3)「ウェブ上の分身にカネを稼がせてみよう」(『ウェブ進化論』第一章)みたいな話を聞けば、手をさっさと動かしてそこに新しい技術を入れ込んだりしながらサイトを作って実験ができる。広告収入の正確な流れも含め「バーチャル経済圏」がどういう仕組みで動いているかの深い理解がある。
(4)ウェブ上に溢れる新しい技術についての解説を読んで独学できるレベルまで、ITやウェブに対する理解とプログラミング能力を持つ。

まだ40前だし、ちょっとがんばってみようかしら。。

そしてこれを読むんだ。

アメリカ素描 (新潮文庫)

アメリカ素描 (新潮文庫)